出版物の紹介
学校文化の源流を探る
定価 | 1,800円(税別) |
---|---|
判型 | 四六判 340ページ |
発刊 | 2024年11月 |
ISBN | 978-4-907717-14-8 |
北海道の学校は遠足先でジンギスカンをつくって食べる「炊事遠足」を行い、秋田県ではきりたんぽ鍋の「なべっこ遠足」を楽しみます。千葉県では朝の出欠確認で生徒は「はい、元気です」「はい、風邪気味です」などと返事をします。また、黒板消しを「ラーフル」、騎馬戦を「川中島」、穴が開いた靴下を「じゃがいも」とか「おはよう靴下」と呼ぶ県・地域もあります。そうした“へぇ~”も含めてそれぞれの学校の伝統的な雰囲気、行動様式、行事、生徒の服装やスタイル……人間に生活習慣があるように、学校にもあるそのようなものが「学校文化」です。
文部科学行政に長年たずさわっている著者は鹿児島県教育委員会へ赴任時にそうした学校文化に気づき、その魅力・多様性を調べてきました。本書では学校文化について、▽文化の基礎を築いた律令時代から江戸時代▽近代教育制度が確立された明治期▽大正デモクラシーの影響を受けた時代▽民主化と男女共学が進められた戦後――と歴史的に区分して分析。また、地域の歴史や地理的な特性が生み出した学校文化の多様性にも注目しています。
さらに、少子化とIT技術の発達が急速に進んでいる今の時代に対応しなければならない課題を指摘しています。それは、▽子どもの人権の尊重▽教師の働き方改革▽地球環境の変化への対応――として、著者は「教育機関や地域が課題に取り組む基盤になるのが、それぞれの地域や学校が持つ多様な文化です」と結んでいます。