つれづれ
エコと快適の融合に「いいな~」
環境にやさしい生活を「隗から始めよ」で実践している元環境省事務次官、小林光さん(東京大学先端科学技術研究センター研究顧問)が長野県茅野市に新築したセカンドハウス「金山デッキ」をこのほど訪れた。小林さんは環境省在職中に自宅をエコハウスに建て替え、その効果と限界を『エコなお家が横につながる』(海象社・エネルギー問題ブックレット)などで明らかにしてきた。
JR茅野駅からレンタカーで約20分、長野県茅野市金山地区に昨年末完成した平屋建て住宅は、CO₂フリーの8.8kWもの太陽光発電パネル(PV)を屋根に乗せ、半地下室には大容量の蓄電池(23 kWh )を設置した。景観に溶け込んだ屋根の勾配、壁面の色も自治体の景観条例に沿ったものだ。標高は1020mにあって、冬季の平均最低気温はマイナス8℃と冷え込む。そのため厚い断熱材と複層ガラスにするなど断熱を徹底、UA値(一定面積・時間当たりの外部に逃げる熱量)は0.32と、この地域で要請される基準より4割以上も少ない。一方、雨が少ないことから年間約1万kWhの発電が見込め、昼間の余った電気は蓄電池に溜めたり電力会社の系統に流したりする。
小林さんは将来的に地域の配電網につなぎ、他の家で余分に発電したPVを蓄電したり、必要な時には供給する(仮想発電所)などして脱炭素の一助にしたいと考えている。まさしく「エコなお家が横につながる」だ。
なるほどと説明に感心したが、実は快適さの方に心を奪われてしまった。地元の木材をぜいたくに使った室内(耐震性能は避難所並みとか)、屋根を掘り込んだような展望デッキから八ヶ岳連峰の眺望がすてきだ。室内からも別の山々の稜線が、それに合わせた横長の窓からくっきり見られる。備え付けの大きな本棚、一枚板のテーブルも快適そうだ。この地域は旧石器時代から人が住み付き、7年ごとの諏訪大社御柱祭は全国的に知られている。脱炭素と快適な暮らし……う~ん、いいな!