つれづれ

『盲導犬繁殖犬チッパーさまさまね 定年おやじ奮闘記』が点字で紹介されました

2024.10.15

『盲導犬繁殖犬チッパーさまさまね 定年おやじ奮闘記』がこのほど、点字の週刊新聞「点字毎日」(毎日新聞社発行)の書評に掲載されました。

送られてきた掲載紙は、表紙と裏表紙だけが印刷された白く厚い紙の塊です。A4の大きさで、表紙には「点字毎日」の題字と、「毎週火曜日発行 2024年7月30日号 毎日新聞社」「1922年(大正11年)5月11日創刊 第5201号」と、記事の内容紹介が印刷されています。

ただ、中の60ページは細かな凹凸が一面にある白いだけの紙面で、どこに掲載されているか全く分かりません。それでも付せんを頼りにページを開くと、“青線の枠内がチッパーの「書評」です”とのピンクの付せんがペタリと貼られていました。「これが点字か~」と、目をつぶって紙面を触ってみたが、不規則な凹凸が感じられるだけ。同時に送られてきた「点字毎日活字版」(※注1)には同じ内容が文字で紹介されていて、盲導犬繁殖犬ボランティアの著者の“楽しい苦労話”に続いて「サピエに音声デイジーあり(※注2)。点字データは日本点字図書館が作成中」と付記されていました。

点字は目の不自由な人が指先で触って読むことができる文字。1670年にイタリアで考案され、その後改良が続けられ、日本では「日本点字の父」とされる石川倉次氏が考案した6点式点字が1890年、東京盲唖学校で採用されました。簡単に言うと(3列2行の)6カ所で突起があるかないかの組み合わせで文字を表示します。「点字毎日」裏表紙の「点字の読み方一覧表」によると、アは左上の1カ所だけが突起、イは左上の2カ所が突起、ウは上列の2カ所が突起……となっています。カ行は右下の1カ所が加わってア~オと組み合わされます。カは左上と右下の2カ所が突起、キは左上の2カ所と右下の1カ所……となります。同様にサ行は右側の下2カ所が組み合わされ、タ行は右側の中段と左側の下段の突起が組み合わされます。さらに、6カ所の突起を複数組み合わせることで、濁音や数字、アルファベットなども表現します。

同社点字毎日部の澤田健記者は「IT技術の発達と支援システムの整備によって、目の不自由な人が音声でも情報を得ることができるようになった。それでも100人中6~7人程度は点字を利用するなど重要な情報伝達手段であることには変わりはない。商業誌唯一の点字新聞としてこれからも目の不自由な人・関係の人に情報を伝えていきます」と話しています。来月1日は「点字制定記念日」、チッパー、君の活躍は点字を通じても広がっているよ!

盲導犬繁殖犬チッパーさまさまね 定年おやじ奮闘記』(白石裕雄著、23年9月発行、1760円)

※注1:点字毎日活字版は目の不自由な人が関係する施設の職員やボランティアらのために、点字毎日と同じ内容を活字で印刷している。毎週木曜日発行。

※注2:サピエは目の不自由な人に地域・生活情報を含むさまざまな情報を提供するネットワーク。音声デイジーは音声データを提供するためのデジタル規格。